【登壇報告】
コスモス倶楽部沖縄様にて、事業承継をテー マにお話ししました
~沖縄の個人事業主・町の電器店の事業承継~

弁護士に相談する3つのメリット 的確な見通しが立つ 時間と精神的負担の軽減 経済的利益の最大化

何が起きたのか

こんにちは。企業のための法律事務所THREEUP・代表弁護士の福本龍之介です。

2026年8月5日、コスモスベリーズ株式会社の沖縄県内加盟店の集まりである「コスモス倶楽部沖縄」様にお招きいただき、「加盟店事業承継のご報告」のプログラムにて、沖縄県事業承継・引継ぎ支援センターのご担当者様らとともに登壇し、弁護士の立場から事業承継についてお話しする機会をいただきました。 実際に事業承継に取り組まれた加盟店様のご報告に続く形でのお話でしたので、参加された皆様にとっても、承継を「自分ごと」として考えていただく貴重な機会になったのではないかと思います。

ご参加くださったのは、沖縄本島の各地から離島まで、長年にわたり地域の暮らしを支えてこられた「町の電器屋さん」の皆様。電球一つの交換で駆けつけ、エアコンの調子を気にかけ、時にはおじい・おばあの見守りまで担う⸺量販店にもネット通販にも真似のできない、まさに地域のインフラです。

その皆様に、私からは「お店を一日も止めないための事業承継」についてお話ししました。

沖縄の後継者不在率は、全国ワースト水準

当日会場で配布された沖縄県事業承継・引継ぎ支援センターの資料にもあるとおり、帝国データバンクの調査では、沖縄県の60歳以上の経営者のうち後継者不在の割合は65%。後継者がいない企業の割合は全国ワースト5位と、都道府県別で常にワースト水準にあるのが沖縄です。

これは法人だけの話ではありません。むしろ、個人でお店を営む事業主の皆様にこそ、深刻に関わる問題です。

個人事業の承継で一番怖いのは「揉めること」ではなく「止まるこ と」

講演では、法人・個人事業を問わず共通する承継の考え方をお話ししました。本記事では、個人でお店を営む場合を例に、特に大切な2点をご紹介します。

1. 準備がなければ、お店は「止まる」

個人事業の場合、店舗も、配達の車も、工具も、在庫も、預金も、すべて事業主ご本人の名義です。
何の準備もないまま万一のことがあれば、その瞬間、これらは相続人全員の共有となり、預金口座は凍結されます。仕入代金が払えない、修理の依頼に応えられない⸺お客様が待ってくださっているのに、お店だけが動けなくなるのです。

2. 資格・登録・契約は、相続では引き継げない

電器店には特有の落とし穴があります。電気工事に関する資格や登録は一身専属であり、相続の対象になりません。後継者の方が資格をお持ちでなければ、取得までに年単位の時間がかかります。取引先との契約や加盟店契約も、多くの場合、結び直しが必要です。つまり事業承継とは、財産・契約・資格の束を、元気なうちに順番に渡していく作業なのです。

では、何から始めればよいのか⸺第一歩は「弁護士への相談」です

事業承継の話になると、「まずは遺言を書いておきましょう」とすすめる専門家もいます。しかし、当事務所の考えは違います。

遺言は、亡くなったときに初めて効力が生じる、財産の分け方の指定にすぎません。遺言では、後継者に資格は移らず、契約も結び直されず、お客様も引き継がれません。つまり、遺言をどれだけ丁寧に書いても、事業承継は一歩も進まないのです。

事業承継の本体は、お元気なうちに完成させる生前の設計です。後継者を決め、資格を取得してもらい、契約や取引先を順に切り替え、事業用の財産を計画的に移していく。場合によっては法人化して、承継しやすい形に整える。後継者がいらっしゃらない場合には、信頼できる同業の仲間にお客様と商圏を譲る「第三者承継」を検討する。これらはすべて、生きているうちにしかできません。

だからこそ、第一歩は書類を作ることではありません。今のお店の財産・契約・資格を棚卸しし、承継の設計図を描くこと⸺すなわち、弁護士に相談することです。

法人の経営者の皆様も、対応は必要です

では、会社形態にしていれば安心かといえば、そうではありません。法人の場合、承継の対象が「株式」に形を変えるだけで、問題の構造は同じです。準備のないまま相続が発生すれば、株式は相続人全員に分散し、株主総会の決議が通らず、会社としての意思決定が止まります。先代の連帯保証をどう引き継ぐか、名義株をどう整理するか、他の相続人の遺留分にどう配慮するか⸺法人ならではの論点も少なくありません。

そしてこれらもまた、株式の集約・移転、定款や株主構成の整備、保証解除の交渉といった生前の設計によってしか解決できない点は、個人事業と何ら変わらないのです。

なぜ、事業承継を「弁護士」に相談するのか

「事業承継は税理士さんの分野では?」とよく聞かれます。もちろん税務も重要です。しかし、承継 の現場で実際に問題となるのは、財産の共有、契約の引き継ぎ、保証、遺留分といった**「権利」の 問題**であり、これらはすべて法律の領域です。

弁護士の役割は、争いが起きてから戦うことだけではありません。争いが起きない承継の設計図を、事業主がお元気なうちに描くことにあります。

当事務所は、沖縄・那覇に本拠を置く、企業法務・M&A・事業承継特化型の法律事務所です。私たちが創業以来一貫して大切にしているのは、常に経営者の側に立つこと。金融機関や大企業の代理人としてではなく、事業を営むオーナー経営者お一人おひとりの隣に立ち、東京水準の専門性を沖縄の中小企業の目線でお届けする⸺「この島から、企業をもっと自由に。」を掲げる当事務所の変わらな い立ち位置です。

法人の株式承継から、個人事業主の生前の承継スキーム設計・事業譲渡まで。そして今回のように、 公的機関や地域の専門家の皆様と手を携え、地域ぐるみで承継を支える体制づくりにも力を入れてい ます。承継のご相談は、地域の事情と経営者のお気持ちの両方が分かる相手にこそ、話していただき たいと考えています。

「法務のワンストップ」ではなく、「経営課題のワンストップ」を

近年、幅広い法律サービスを一つの事務所で提供する「法務のワンストップ」を掲げる事務所が増えています。それ自体は経営者にとって良いことです。ただ、私たちが事業承継の現場で痛感してきたのは、経営者が抱えているのは「法律問題」ではなく「経営課題」だということです。

後継者への引き継ぎには資金が要る。設備を更新するなら補助金を使いたい。譲渡先はどう探すのか。店舗の不動産はどうするのか。税金は⸺。承継の悩みは、法律・お金・税・人が絡み合った一つの塊であり、法律相談への回答だけでは、一歩も前に進みません。

だからこそ当事務所は、弁護士法人としての法務に加え、グループとして補助金・許認可を扱う行政書士部門(補助金Labo)、M&Aの相手探しから実行までを担うスリーアップソリューションズ株式会社を擁し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士など地域の専門家の皆様とも日常的に連携しています。承継を「法務案件」として切り取るのではなく、経営課題として丸ごとお引き受けし、解決まで伴走する。代表弁護士がコンサルティングファーム出身であることも含め、これが当グループの掲げる「経営課題のワンストップ」です。

事業承継のご相談はお気軽に

「後継ぎはいるが、何から手をつければいいか分からない」
「会社の株式が親族に分散していて、整理の仕方が分からない」
「自分の代で店を閉じるべきか、誰かに譲るべきか迷っている」
「まだ元気だが、万一のときに家族と店が困らないようにしたい」

そんなお悩みをお持ちの経営者・個人事業主の方は、ぜひ一度ご相談ください。事業承継は、亡く なってからでは間に合いません。「まだ早い」と思ううちが、実は一番選択肢の多いタイミングで す。

最後になりましたが、貴重な機会をくださったコスモスベリーズ株式会社様、コスモス倶楽部沖縄の 皆様、そしてご一緒に登壇いたしました沖縄県事業承継・引継ぎ支援センターの皆様に、心より御礼 申し上げます。

事業承継は、沖縄の経済と暮らしの土台を、次の世代につなぐ仕事です。

沖縄経済は長らく、観光や公共投資で島に入ってきたお金が県外へと流れ出てしまう、いわゆる「ザ ル経済」という構造的な課題を抱えてきました。担い手を失った事業が静かに消えていくこと。そし て、承継やM&Aの相談先・専門機能が県内に育たず、島の外に頼らざるを得ないこと。私たちは、こ れもまた価値の流出の一つの形だと考えています。

だからこそ当事務所は、沖縄の課題は、沖縄の中で解決することにこだわります。承継の受け皿を県内につくり、専門機能を県内に育て、事業が生み出す価値と雇用を島の中で次の世代へ循環させていく。この島に根を張る法律事務所として、これからも沖縄の経営者の皆様の一番近くで、承継のご相談をお受けしてまいります。

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